花椒・青山椒の違いは?使い方をマスターして中華料理を極める
なかなか家庭で使う機会は少ないかもしれませんが、使い方をしっていると料理をぐっと本格的なものにしてくれます。今回はこれら山椒の違いを学びつつ、その使い方をマスターしていきましょう。きっとその魅力的な味わいにハマること間違いなしです。
花椒と青山椒の違い
花椒とは?
花椒はホアジャオと読みます。ミカン科サンショウ属の落葉低木でサンショウであることに変わりはありませんが、日本の山椒(和山椒)と区別して中国山椒などとも呼ばれます。
赤く熟した実を収穫し乾燥させて使われます。スパイスとして使われるほか、薬用として使われることもあります。
味と香り
花椒の特徴はなんといってもその痺れるような辛さです。香りも非常に強く爽やかで、特にホールのものを食べる直前に挽くと鮮烈な香りを楽しめます。
中華の味の基本と言われる麻辣味。麻も辣も辛さを表していますが、この麻には痺れるという意味があり、つまりは花椒からくる独特の辛さを指しています。山椒の痺れる辛さと唐辛子の辛さ、ふたつの辛さが絡み合って中華の味は構成されているのです。
その意味で中華料理にとって花椒は欠かすことのできない調味料のひとつです。
青山椒とは?
青山椒とは赤椒と対をなす中国山椒です。別名で藤椒(タンジャオ)ともいわれ、赤く熟す前の青いうちに収穫された赤椒を乾燥させたものです。
なお日本山椒の若く緑の実をさすこともあり、青山椒という言葉は時に混乱をもたらすこともありますが、中華料理に使われる藤椒=(中華)青山椒、うなぎをはじめ和食に使われるのが和(青)山椒という感じでしょうか。後ほど詳しく説明しますが、両者は別の植物です。
味と香り
青山椒は花椒と比べると辛さはマイルドで痺れの要素はさほど強くありません。しかし花椒よりもフレッシュでさわやかな香りが非常に強く、イヤらしくない上品な風味を持っています。
しばしば花椒の高級版といわれることもある青山椒ですが、その上品で華やかな味わいは確かに高級山椒呼ばれる風格を備えています。
中華山椒と和山椒の違い
生物学上の違い
中華山椒も和山椒もミカン科サンショウ属の植物に分類されます。このサンショウ属の植物は世界に200種類以上存在しています。
- 中華山椒、すなわち花椒や青山椒は華北山椒という中国原産の植物
- 和山椒は別名ハジカミとも呼ばれる日本原産の植物
これらは同属異種の関係で、似て非なるものだ言えるでしょう。
味や香りの違い
パンチがあり風味がしっかりしている花椒に比べると、日本の山椒は非常に繊細です。加工の方法にもよりますが、粉末状の状態では痺れと呼べるような辛さはあまり感じず、柑橘を思わせるような爽やかな香りが広がります。
中国の青山椒がちょうど花椒と日本の山椒の中間くらいに位置する味わいというイメージですが、風味のクセはやや花椒よりです。
使い方の違い
中国山椒は山椒の実の皮を主に乾燥させて利用するのに対し、日本の山椒は同じく実の皮を使う以外にも花・果実・葉などをあますことなく使います。
日本山椒では果実の部分(実山椒)を加工してちりめん山椒などに加工されますが、この実山椒を青山椒などと呼ぶこともあります。これが中華山椒における青山椒と混同してしまいやすいのですが、さきほども述べたように両者は基本的にベツモノです。藤椒の使い方は基本的には花椒と同じで、乾燥したものを粉末にし料理にふりかけたり混ぜ込んだりします。
花椒と青山椒の使い方
基本はホールを直前に挽く
山椒は香りが飛びやすく購入後なるべく早く使うのが理想ですが、特に粉末にしてしまったものは長持ちしないので花椒も青山椒も基本的にはホールのものを購入して使う直前にミルで挽くのがオススメです。
花山椒や青山椒は比較的挽きづらいスパイスなので、よりしっかりと粉末にして香りを引き出したい方は小さい鉢を買ってすりこぎでするのもオススメです。香りが段違いによくなります。
花椒と青山椒は混ぜ合わせることで複雑な風味を引き出してプロ仕様に
中華料理において、花椒と青山椒どちらを使えばいいのかという疑問が生じるかもしれません。青山椒のほうが高級だから青山椒一択で・・・というのもじつはナンセンス。
さきほども紹介したように、青山椒は上品で華やかな香りが特徴ですが、中華山椒に求められる「痺れ」はあまり強く感じられません。好みにもよりますが、バランス重視でいくなら花椒:青山椒を1:1から2:1程度でブレンドして使うのがよいでしょう。
もし痺れる辛さを減らして香りを高めたければ青山椒の比率をあげ、逆に痺れを強く出したいのであれば花椒の量を増やしてみましょう。メーカーにもよりますので、自分で好みの配合を見つけてみるのも楽しいのではないでしょうか。